ビジネスプロセス・マネジメントまたはBPMに関連する用語をまとめましたので、参照ください。
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プロセスに含まれる人間および業務を支援するコンピュータ処理の活動単位を総称する名前。アクティビティは、最終的にこれ以上分割できないタスク(作業単位)にブレークダウンされる。これをリーフ(葉)・アクティビティと呼ぶ。その反対にタスクに分割されていない抽象的なタスク(枝)は総じてアクティビティと呼ぶ。
一般的には、数学モデルに基づくツールを用いて解析を行い、ソフトウェアその他のサービス・コンポーネントをモデル化する技術のこと。
BPMでは、ビジネスプロセス・モデリング技術により業務分析を行う過程を指す。As-Isプロセス・モデルに並行処理による時間短縮、例外処理リスク対策など、数学的考察に基づく改善を加えたTo-Beプロセスのモデル化を行う。シミュレーションによりプロセス改善効果を定量的に分析するアプローチを含んでいる点で、As-IsとTo-Beのいずれかを単に可視化する「モデリング」と区別される。
米国生産性品質センター(APQC:American Productivity and Quality Center)が、「Process Classification Framework」という名称で発表した、標準的な業務プロセス分類のフレームワークのこと。業務プロセスのベストプラクティスを調査し、ベンチマーキングするための基準として定義されたもので、業務分析や経営改革を行う際のリファレンスモデルとなる。
「現在の姿」を意味する。この対極に位置するのが””To-Be””(あるべき姿)。
As-Is Processで、自組織が用いている現在のビジネスプロセスを意味する。業務の「量」と「受渡しから生じる無駄」を削減するための出発点として、プロセス分析/設計における精査の対象になる。「削減」の目的は、あくまでプロセス価値の増大であり、部分最適でなく対象プロセスの総合パフォーマンスを阻害しない視点からの精査であることが重要。
カナダのトロントに本拠を置くNPO法人IIBA (International Institute of Business Analysis ) が発行しているビジネスアナリシス(BA)に関する知識体系。BABOKはメソドロジーや手順ではなくベストプラクティスを体系化したものである。
直訳的には、「BPM先行優良事例情報センター」とでもなろう。初期モデル・プロジェクト実施後に経験者を専任スタッフとして結集した拡大展開ブレーン的組織。得た教訓の収集と蓄積したスキルの整理を行い、それらを活用して、以降のライン組織におけるプロジェクト推進を統括管理、支援する。システム技術に特化した業務を遂行するIT部門とは別に、BPM推進リーダーで構成されるBPM運営委員会直下に置かれるのが通常。BPMオフィスという類義語もある。当協会では、「BPM推進センター」と称する。
主に以下のような役割を担う。
BPMSを使用して構築した業務アプリケーション・システムで、作業担当者ごとのワークリスト提供機能、事案ごとの業務進捗管理機能、パフォーマンス・モニタリング機能、業務ナビゲーション機能などが必然的に備わっている。
ビジネスプロセスの実行と管理、開発を支援するIT基盤。
ビジネスプロセス・モニタリングの自動化された様式で、BPMシステムの一部。現実のプロセス遂行の状態とパフォーマンスをリアルタイムで表示する。異常に関する警告発信にとどまらず、事業情報と結合し、迅速な問題対応と改革のための意思決定に有用な情報の提供を目指す。将来は、自動的コンピュータ制御、あるいは自動修正システムに進化すると展望される。
組織における価値創出過程の基本単位。論理的関連性を持つタスクあるいはアクティビティの集合体で、インプットに価値を付加してアウトプットに変換し、ビジネスユニット内外の顧客に届ける。タスク/アクティビティは連続的あるいは並行的に遂行され、その過程で、一連の資材、情報、当該プロセス内外の人員が投入される。これにゲートウエイという判断ルールを加えた流れをワークフローと言う。
外部顧客が認容する価値を創出する総合的かつ上位概念のビジネスプロセスを、バリューチェーンと呼ぶ。
ビジネスプロセスを構造的に理解・把握するための枠組み。一般にアーキテクチャで定義されるのは、以下の要素のいずれか、あるいは双方である。
①性質の異なるプロセス相互の「関係構造」。
②各プロセスの概要・表層から詳細・深層にいたる「階層構造」。
戦略論で著名なポーターのバリューチェーン・モデルは前者の一例と考えられる。
「プロセスデザイン」は、プロセスの始まりから終りまでの流れの詳細を明示すること。プロセス設計の作業を意味する場合と、その作業の作業の成果としての可視化されたプロセス構造図を指す場合がある。ビジネスプロセスの運用に必要な業務の仕様と相関関係を示す。「プロセスデザイナー」は、この作業を責務とし、一表記法を用いてプロセス構造図を作成する人のこと。
従来は、データフロー図、ワークフロー図、フローチャート等を用いてきた。しかし、最近では、ビジネスプロセスマネジメント・ノーテーション(BPMN)と呼ばれるモデリング言語を用いることが多くなった。BPMNを用いることにより、従来見られたプロセスデザイナーとIT専門家の間のギャップを埋めることが期待できる。
ビジネスプロセスを記述し、Webサービスの統合プラットフォームで実行させるためのXMLベースの言語。ビジネスプロセス分析/モデリング・ツールを用いて構築されたプロセス・モデルを所定のフォーマットで貯蔵するために用いられる。
正式名はBusiness Process Execution Language for Web Service(BPEL4WS)。歴史的に、さまざまのプロバイダと業界団体による開発と標準化の努力が行われてきた。もっとも最近策定された仕様に対するWS-BPEL (Web Services Business Process Execution Language)という呼称も持つ。
BPEL4WSおよびWS-BEPLは、Webサービスによるアプリケーション統合を主眼に開発された実行言語であるため、判断、承認、エスカレーションなど、人間が介在するプロセスの詳細仕様を記述できない。この課題に対するソリューションとして、人間系の相互作用をモデル化する拡張標準 WS-BPEL Extension for People (BPEL4People), Version 1.0 等が提案されている(2007年6月現在)。
バリューチェーンにおける他社とのプロセス連結やグローバル化の進展を背景として、ビジネスプロセスのとらえ方と継続的改革能力を、組織の成長・存続のための基本要件とするマネジメント概念。最近のプロセス指向ITの活用により、プロセス改善活動、組織風土と社員の意識の改革を統合した戦略目標達成を目指す。多様な分野の方法論と急速に進展するITが関わるため、その定義は一定でない。当協会では、現時点で、以下のように定義している。
「企業活動の俊敏性・業績・コンプライアンスの改善といった経営目標の改善に向けて、ビジネスプロセスの改善サイクルを、人とITにより迅速に実現する新しいマネジメントの考え方・領域」
BPMスイートに、特定のユーザー・インターフェイス、ルール、プロセス・モデル、測定尺度、ソフトウエア・コンポーネント等のナレッジ・フレームワークを付加したプロセスを実装するアプリケーションのこと。ビジネス・ユニットにおけるプロセスの変更とメンテナンスが簡素化され、現行プロセス・レビュー、アクティビティの自動化、ムダの排除を迅速に促進する能力を持たせる。
BPM推進に必要なツール一式。プロセスの開発に必要なビジネス・プロセス・モデリング・ツール、プロセスの実装に必要な各種開発ツール、プロセスのオペレーションに必要なBAM、ダッシュボード類などで構成される。
BPMのコンサルティング企業やソフトウェア業界が中心となって規格したビジネスプロセス構造を示す図を描くための表記法、およびプロセスモデルのメタデータ構造規格。標準化団体であるBPMI(Business Process Management Initiative) が2004年に初版1.0を公開、その後OMG(Object Management Group)に引き継がれ、2011年に2.0版が最終採択された。
ビジネスプロセスが所期のパフォーマンスを達成しているかどうかを監視・査定すること。パフォーマンス基準は、プロセス・モデリングの過程で設定される。BPMSを導入している場合は、ビジネスプロセス実行エンジンが個々のプロセス・インスタンスをリアルタイムで監視する。これはBusiness Activity Monitoring (BAM)の1機能であり、迅速な問題対応を可能にする。
ある期間枠内では、プロセス・インスタンス群のパフォーマンスの目標と実績の差を提示し、対応措置に結びつけることが重要である。したがって、パフォーマンス測定だけでなく、関係者にデータをフードバックするシステムも備えなければならない。
競争力の観点から低コストを中心とする効率が重視されるビジネスプロセスを、外部サービス・プロバイダに委託すること。顧客関係マネジメント(CRM)、財政・会計、人事管理、調達等の間接プロセスがその代表。シェアド・サービス機能の設置もその一方策。それにより内部プロセスを簡素化し、一定レベルの機能サービス水準の維持に資する。顧客志向・重視を強調しながら、なぜCRMをアウトソーシングの対象とするのか、といった疑問提起もあり、委託先との価値観の共有と教育訓練の充実が求められる。
プロセス設計を責務とするマネージャ。プロセスのパフォーマンスに責任を負う場合と負わない場合があるが、担当プロセス内の測定/フィードバック・システム、文書化、従業員訓練も責務に含む。従って、プロセス改善の最終的責任を担う人物とも言える。プロセス改善には、プロセスの範囲と複雑さに応じた時間投入が必要なため、就任に伴い、他の職務との調整が求められる。
90年代初頭に米国で提唱された経営改革コンセプト。機能ではなく顧客起点のプロセスを重視した組織構造改革への抜本的発想転換を求め、目標として以下の点を掲げた。
①急激で根底的な構造改革:歴史的経緯と政治的要素にとらわれず、顧客満足・競争優位を徹底的に追求するプロセス再構築。
②漸進的ではなく劇的な改善:品質、コスト、サービス、スピードの飛躍的改善。
③即時代性:急速に進展する方法論の積極的活用。例えば、最先端IT技術導入による画期的なレポーティング/マネジメント・システムへの移行。
今日の欧米では、一般的にビジネスプロセス・リデザイン(再設計)の同義語として再定義されているが、日本では普遍的価値を持つ概念としてとらえ、BPRの略称の下に改革活動を継続している企業も多い。
プロセスフローの分岐条件/判定ルール、承認・決済ルール、査定ルールなど、業務遂行に関わる人間、およびコンピュータの判定ルール全般を指す。これらのルールをプロセスフローと分離・独立して管理・保守することにより、事業変化に強いにビジネスプロセスを実現できる。
改革を効果的に推進するための諸方策を、プロジェクト・マネジメントとリーダーシップの1スキル領域としてとらえた概念。組織、人事評価・報酬制度等の環境設定と、新しく求められる行動に関する従業員訓練とは別に、社内外のステークホルダーからの納得と協力の獲得を重視する。改革の意義と推進計画に関する伝達・説得力、時宜を得た討議の場の設定とファシリテーション力、変化に対する心理的抵抗を排除するための意思疎通・共感獲得力等のスキルが求められる。
事業メリットの増大に結びつくインフラやサービスの変更実施要求(Requests to Effect Changes: RECs)の管理・統制を責務とする、サービス・マネジメントのプロセス。承認を得た変更の実施段階の管理も含まれ、推進と同時に、変更に伴うサービス継続上の障害や混乱のリスク抑制が1つのポイントとなる。
非効率性、障害、および無駄(やり直し、時間、労力、資材、等)を低減することにより、プロセスの有効性を向上させる活動を日常的に行うこと。特定の時期に計画される”Improvement”は異なり、日本企業で行われてきた「絶え間ない日常的改善活動」に相当する概念として用いられるようになった。日本語をローマ字化した”Kaizen”と同義。
本来は、航空機や自動車の運転・操縦席に備えた設備/運行状態表示パネルのこと。BPMでは、特定プロセスに対し設定されたKPIの目標達成状況を、可視化技術を使って表現したメータ図やグラフなどのユーザー・インターフェースを指す。プロセスにおける主要サービスの遂行結果を即時的に通知することにより、経営層や担当マネージャに迅速な意思決定と対応を促す。
”IF 条件 THEN アクション”から成るルールの集まりを表形式で記述し、非IT技術者でもオーサリングできるようにしたビジネスルールの形式化表現手法。
特定プロセスにおける所定のサービスレベルや制約条件が満たされない場合に、自動的あるいは手動的に起動を要請される対応手続き。所定時間内に結果の測定・報告や問題解決が完了されなかった業務案件を把握・警告し、未解決の問題について、クライアントとサービス提供者の上位管理者の介入を求める。
特定の条件のもとで発生し、ワークフロー・ソフトウェアに1つ以上の動作を起動させる出来事。発生起点には、ワークフロー・マネジメント・システムの内外の双方がある。例えば、特定様式のEメールが届けば(イベント)ワークフロー・システムが所定のプロセス定義に即した処理(インスタンス)をスタートする、といった状態。
イベントには、2つの要素が含まれる。
①トリガー、または起動要因:所定のシステム作動条件の認識。これにより、特定の動作が開始される。
②動作、または反応:トリガーが示す条件に対応して、システムが発揮する機能。
ビジネスプロセスにおける「例外」とは、業務処理過程で発生した特殊な状況、あるいは事前に想定されず所定の手続きで対応できない案件のこと。例外の発生を監視し、発生した例外の内容に応じて適切な判断と決定を行い、対応策を講じることが、「例外管理」。業務自動化範囲の拡張とともに、人間の業務における例外管理の比重が増す。
ITシステム用語として用いられる場合は、プログラムがある処理を実行している過程で発生し、別処理が要求される異常事態を指す。「例外処理制御」は、異常発生に対応するためのプログラミング上の処方箋のこと。
情報システム、ソフトウエア、ウエブ、ネットワーク等の構築において、意味論上あるいは構造上の不整合が発生しない設計を行うこと。
モデリング対象プロセスを物理的要素に基づき図形化するために選択する階層・精度水準のこと。これが高い(または大きい)ほど、プロセス定義に関わる変数値が減少する。
BPMの本来の目的は労働生産性の向上であり、新たに適用されるプロセスモデルやITの期待成果を実現する決め手は、株主や経営執行者から第1線担当者に至る人間が、その実行に積極的に取組める環境整備にある、とするBPMアプローチの1概念。人手作業(操作、入力、判断、承認など)のプロセスとしての連結を主眼としたシステム構築アプローチに加え、変化の促進に向けた組織風土や利益配分方式、人事評価・報酬制度改革、教育訓練を重視する。これに対し、情報システムの連結を主眼とするアプローチを「ウェブ・サービス」アプローチと称する。
設計されたビジネスプロセス仕様をコンピュータ上で稼動できる言語(ソフトウエア)に変換し、必要なハードウエアに組み込んで使えるようにすること。
ワークフローなどのプロセス図がイベントの一般的順序を表すのに対し、インスタンスは、データ処理、行動、および判断を伴う実際に行われたプロセス・アクティビティと作業を示す。ワークフロー・システムとシミュレーション・システムでは、具体的なプロセス・インスタンスの実行から得られる実績データを追跡することにより、誰が、どれくらいの時間とコストをかけてプロセスを完遂するかを把握し、プロセス設計に用いる。
BPMスウィート(BPMS)の主要目標(ビジネスプロセスの統合)かつ性能評価の一概念。IC-BPMSと表記されることが多い。ウエブメソッドによるアプリケーション間の連結、BPM、SOAを主柱として、以下のような多様なテクノロジが用いられる。
ワークフローの実行時に、一定条件が満たされるまで、1つ以上のアクティビティが繰り返し実行されるサイクルのこと。
継続的改善を確実に推進するための業務の進め方。最も有名なモデルとして「PDCAサイクル」がある。Plan(計画)、Do(実施)、Check(検証)、Action(改善)の4ステップからなる活動サイクルを連続的に循環させる。1サイクルの最後のActionの成果を次サイクルのPlanに反映させることにより、上限のないパフォーマンス向上を目指す。
BPMにおけるPDCAサイクルは、以下のように設定できる。
企業/事業戦略の実行経過と目標達成度(パフォーマンス)を的確かつ定量的・可視的に測定・評価するために設定する基準指標のこと。組織・プロセス階層に応じ、論理的整合性を持つ数値が体系的に示される。最終目標値に加え、いつまでに、どの程度の成果を出すかというマイルストーン(中間目標値)も含む。戦略を遂行する個別プロセスにとっては、改革・改善プロジェクトの成果目標値でもある。
一般的には、財務以外に、効率性(例:インプット対アウトプット)、総合的効果(例:製品/サービスの無欠陥産出量)、変化対応力(例:システム修正を含む体制再構築に要した時間)の観点から設定した指標が多い。BPMプロジェクトに関しては、環境変化による機会を逃さず所期の事業成果を達成するためのプロセス調整能力評価指標の設定が必要、という主張もある。
一企業内での事業単位、いわゆる本社間接機能部門に対比され企業業績に直結するライン部門を指す。多角経営企業であれば、事業部に相当する。ライン部門活動を対象としたソフトウエアによるコンピュータ運用を、LOBシステムと呼ぶ。
ビジネス・プロセスのアクティビティのうち自動化できず人手を介して行うもの、すなわちワークフロー・マネジメント・システムに属さないアクティビティを指す。プロセス・モデリングの補助材料としてプロセス定義に含められたりすることもあるが、最終的にワークフローに組み込まれることはない
ビジネスプロセス実行結果の定量的測定を、定点観測として行うこと。目標値を伴う測定指標(KPI)を設定し、その算定基礎データの所在(システム、テーブル、その他の資料)を含めてプロセスを定義し設計する。定点的にこれらの情報を収集し、目標達成度(パフォーマンス)の算定・評価を行う。プロセス単位のサイクルタイム、生産性、ミス/欠陥率(品質)、顧客満足度等の市場対応指標以外に、財務的観点からのコスト効率と資産有効活用率を含める場合もある。BPMの成功のためには、測定のための工数とコストをビジネスとして許容できる範囲に押さえつつ、継続的・安定的に実行可能な測定の仕組みを構築することが必須条件となる。
収集した情報と図表化手法を用い、一貫した方法でプロセスを表示すること。プロセス遂行に必要なデータベースの所在と、その利用による産物を図示できる。フローチャート、スイムレーン、UML図法等を活用すれば、プロセスを多角的に図示することができる。
物事の開始以降の進行状況を追跡・監視しすること。所定の要件を満たす成果を出しているかどうかの測定結果を関係者にフィードバックし、問題や改善点が発見された場合には、適切な対策を講じる。BPMでは、通常、Business Activity Monitoring (BAM)、Business Process Monitoringの用語で用いられる。
技術的・空間的に分散するアプリケーションの協調運用のための標準を開発することを目的に、1989年に設立されたソフトウェア標準化コンソーシアム(NPO)。これまで分散ミドルウェアの標準プロトコルであるCORBA (1991~)、モデリングの標準表記法UML (1997~)をはじめ、それらを基盤とする標準体系(OMA-MDA)から、100以上の仕様を送り出してきた。近年はビジネスプロセスモデリング表記法BPMN、ビジネスプロセス成熟度モデルBPMMなど、システム化前段であるビジネスプロセスの分析、設計に関わる標準体系にも範囲を広げ、上流の業務分析から下流のソフトウエア開発までをモデル駆動型アーキテクチャ(MDA)で統合する標準化に取り組んでいる。詳細については、www.omg.org参照。
変動を最小限に抑え、可能な限り標準に即した応対を得るために、システムやプロセスに対するインプットの調整を行うこと。
多様な個別サービス間の有機的結合により、顧客満足度の向上に結びつく全体的ビジネスプロセスの遂行完成度を高めること。内部アプリケーションを統合するとともに、ウェブ・サービスによる情報共有をを通じ、サプライヤー、事業パートナー、顧客との協働を促進する。個々の楽器の演奏を統合して1つの音楽として完成させるオーケストラに例えた表現。
組織内の従業員とステークホルダーの間に存在する構成要素と相関関係を、ディレクトリサービスやデータベース様式で表したもの。伝統的階層構造から、プロセスを重視したネットワーク構造にいたるまで、多様な形式がある。各ビジネスユニットの基本属性、相関関係、配属人員がモデル要素であるが、スキルや役割など、各要素に関連する他の多様な属性を取り入れる場合もある。ビジネスユニット内外の要素の相関関係と業績を示すデータの考察から、協働相乗効果や組織の柔軟性の向上、無駄の排除などのヒントを得る。したがって、組織構造の定義、分析、修正に加え、将来の組織変更をも記述できる様式であることが求められる。
組織内で果たすべき、あるいは与えられた役割のこと。
タスクの1セットがジョブ。そして、ジョブに対する責任と権限から成るのが役割(ロール)。役割の遂行に欠かせないのは、課題に関する的確な認識、ジョブを完遂するために必要なリソース調達に関する権限、およびジョブ遂行の結果に対する説明責任(アカウンタビリティ)である。
サービスレベルが確実に満たされているという確認を行うこと。クライアントのビジネスプロセスの運用に用いられているベンダーのITプラットフォームに保管されたトランザクショナル・データへのアクセスが必要なこともある。両者間の契約条項から
所定の主要測定指標(KPI)に即してプロセスのサービスレベル実績を継続的にチェックし、目標レベルの達成を保証すること。ビジネスプロセス改善の重要なツールである。一般的にはプロセス・サイクルタイム、生産性、品質(不良/欠陥率)等のプロセス・アウトプット指標を用いるが、財務指標(原価や資産効率)、顧客満足度、その他まで含めることもある。
一般社会では、出入り口、あるいは他の地区に到達するために最初に足を運ぶ鉄道駅のこと。ビジネスでは、ウェブ・ユーザーが他のページやサイトと交信するために利用する窓口サイトを意味する。通常は、従業員が情報源や社内サービスにアクセスするためのポータルと、顧客が情報入手や製品/サービスの購入のために利用する公開ポータルの双方を備える。
論理的関連性を持ち、特定の目的を達成するために実行される一連の作業(アクティビティ、イベント、タスク)と、その流れのこと。その過程で、投入される資源(インプット)に価値を付加し、内外の顧客に届ける製品/サービス/プロセス(アウトプット)に転換する。プロセスの総合的有効性は、関与する内外の組織・人員、原料・資材・情報、プロセスの実行やモニタリング/測定に用いる設備機器、評価基準や指示文書を含む実行方法論、職場環境等、多くの要因によって左右される。
また、階層、範囲(組織、機能)、戦略的重要性、役割(基幹、支援)、実行方式(連続、平行)等、目的に応じ、さまざまの分類基準で把握される。
現実のイベントに応じ、特定のプロセスで実行される一組のアクティビティと作業アイテムのこと。プロセス実行エンジンでは、通常、複数のプロセス・インスタンスが並行的に実行される。
プロセスの開始から終了までの一連の作業の流れとその作業の役割分担をスイムレーンで表記した流れ図。
プロセスの実行過程から測定する指標、および数値。プロセスやタスクの開始および終了時間から導出されるプロセス・パフォーマンス指標のほか、差戻し回数、承認件数、非承認件数など、プロセスフローの変遷・通過も測定対象指標になる。
プロセスフロー、ビジネスルール、プロセス・データ、役割(ロール)などのプロセス構成要素によってビジネスプロセスを構造的に定義した成果物。BPMN 2.0の標準規格では、定義内容の詳細度、およびモデリング・ステップに応じて、記述 (Descriptive)、分析 (Analytic)、実行可能 (Executable)の3レベルを定義している。
BPMと同義とする説もあるが、ここでは別用語として定義する。
マクロからミクロにわたるプロセスの定義と、各プロセスの管理責任者の任命、責任・権限の設定を包含する概念。
組織と、その組織内のプロセスには、常に特定の成果の向上が求められる。業務単位の産出価値を高めるために、そのプロセス、作業方法、管理方式の改革・再構築を行わなければならない。それを継続的改善を通じて推進する一連の活動を、管理監督者の重要な責務かつ一技能領域としてとらえた用語でもある。
1プロセス内のワークフロー構造を、視覚的に表した図。プロセスの開始から終了までに実行されるすべての業務、すなわち特定のインプットを所期のアウトプットに変換するアクティビティの流れを示す。特に社外を含む組織横断的協働プロセスにおいて重視される。階層や視点に応じて詳細度は異なるが、優れたプロセスマップの条件として以下の2点が挙げられる。
①プロセスを熟知しない関係者が、ワークフロー内の諸要因の相互作用に関する十分な理解を得られること。
②主要ステップごとのインプットとアウトプット、時間、コスト、品質水準等の重要な情報を含むこと。
フローチャート、スイムレーンを始め多くの図法があるが、簡便に使用できるソフトウエアも増えてきた。これを作成する作業をプロセス・マッピングという。
構築中のプロセスにおける完成度、および定量的測定とフィードバックに基づく継続的改善能力の水準を示す尺度。
プロセス内で実行される業務(プロセス・インスタンス)の品質と納期を保証するための監視・監督を行うこと。適切な成果を保証するための先行対策と事後対策の双方を含めて言う場合もある。上級役職者による戦略的指針を含め、あらゆる組織レベルにおける日常的意思決定・判断が関わる。前提として、以下のような条件を備えていることが求められる。
プロセスのスムーズな運用を保証するための、関連プロジェクトの日常的マネジメントを任務とする管理組織。具体的プロジェクト業務の実行と損益に責任を持つプロジェクト・チームとは別に、各プロジェクトが期待成果を達成するためのマネジメント支援に責任を持つ。例えばアウトソーシング契約を含む海外プロジェクトでは、週単位の進行チェック、四半期単位の運用状態査定、半期単位の現地視察、契約サービスレベル履行度モニタリング、改善のための内部プロセスの文書化等を遂行する。
プロジェクト遂行において、所定の要件・仕様を満足させる成果物を産出するために必要な作業を具体化し、その範囲と分担を定義したもの。範囲内と範囲外の作業の具体的かつ明確な区分が不足すれば、事後の混乱、コスト増、スケジュール遅延等(スコープ・クリープ)の要因になる。特に顧客との協働など、複数組織間の商取引契約を伴うプロジェクトでは、自組織の分担範囲を明確に規定しておくことが重要。
現行ビジネスプロセスの骨格部を変革すること。実行手順、分担、処理方法などを見直し、低付加価値アクティビティの削除やフローの簡素化を行う。抜本的な変更という点で、「プロセス改善」と区分される。
「プロセス再設計」のフォローアップとして継続的に行う部分的手直しが「プロセス改善」である。
業務の遂行方法や制約事項に関する記述。通常は、具体的業務遂行方法を統制するための判断基準、論理的説明、方針、規制等を指す。業務遂行に際して当面すると想定される状況、承認手続き、行政規制対応、情報開示に関する事項等が内容になる。
プロセスの実行と不可分であるが、通常、プロセスやナレッジとは別の独立した要素として位置づける。BPMSではルールエンジンの機能として処理・管理される。
組織のビジネスルールの運用を自動化するソフトウエア。BPMシステムの主要コンポーネントであるビジネスプロセス実行エンジンの一部として組み込まれ、以下のような機能を司る。
サプライチェーンマネジメント(SCM)における共通のフレームワークやビジネスプロセスをまとめたモデルのことである。サプライチェーンマネジメントの普及・啓蒙を図る米国の団体SCC(Supply Chain Council)によって策定された。
サービスの内容について、提供者と受け手の間で交わされる合意書。提供(受け手にとっては要求)サービスの目標・特性・構成要素を含む品質保証レベルを定義する。 対象がアウトソーシングあるいはオフショアリングの場合には、受発注契約内容となる。
大規模なコンピュータ・システムを構築する際の概念、あるいは手法の1つ。業務処理に相当するソフトウェア機能をサービス部品に見立て、そのサービス部品をネットワーク上で連携させてシステムの全体を構築していくことを指す。業務処理の変化をシステムの変更に素早く反映させたいという需要に応えうるものとして、アプリケーション構造改革アプローチとも呼ばれる。
複数の組織に共通に存在するサービス機能を分離して組織横断的な事業単位として統合することにより、効率化とより高いレベルのサービスを実現すること。
会計、人事、給与、福利厚生、IT、マーケティング、法務、物流、購買などの機能が主な対象。
現実的状況を想定した模擬実験あるいは思考・行動訓練のこと。シミュレータと呼ばれるITツールを用いて行うことが多い。BPMでは、モデリング段階で複数のプロセス改善シナリオを考え、仮説データを基に最善のプロセス改善策を導き出す。すなわち、シュミレータを使って模擬的にビジネスプロセスを実行させ、各アクティビティに対する時間、コスト、リソースの配分のし方に応じた産出価値の差異を判定する。また、プロセス実行段階で収集した実績データに基づく現場主体の最適化検討にも用いる。
次の3つの分析結果が主要アウトプット。
①サイクルタイム分析⇒プロセス実行時間の短縮を検討。
②スループット分析⇒一定時間内の業務処理効率の向上を検討。
③活動基準原価(ABC)分析⇒プロセス実行に要する人件費等の経費低減を検討。
個別業務の方針と成果が波及的に利害や影響を与える、自組織内外の組織と人々のこと。逆に、それらの関係者からの要求が、業務遂行の方針と行動の制約条件になる。顧客、株主、法規制機関、経営者、取引業者、同僚社員が代表的存在であるが、地球環境保護・資源維持対策を視野に、社会全体が対象となってきた。しかし、これを新事業開発やプロセス改革の機会ととらえることもできる。BPMプロジェクトでは、より直接的に影響を受ける経営幹部、関連ライン部門マネージャ、プロセスオーナー、プロセス内実務担当者、プロセス支援組織、顧客、サプライヤー、財部部門等を指す。
1つのプロセスが担う使命をより効果的に達成するために、そのプロセスを論理的関連性に基づき区分し、連続的あるいは並行的に配備したアクティビティの小単位。この分割により、問題点の特定、および無駄なコストや納期遅延を生じさせている箇所の発見が容易になり、プロセス改善に要する時間が短縮できる。
プロセスを1つのプールに例えた場合、作業の役割を担う機能/組織グループごとに専用レーンで仕切る可視化表現手法。一般的に役割(ロール)がこのレーンに割り当てられる。
アクティビティの最小分割単位(リーフ・アクティビティ)を指し、作業項目(ワークアイテム)を意味する。人が介入するヒューマンタスクと業務を支援するコンピュータ処理のシステムタスクに大別される。BPMN標準では、ヒューマンタスクをさらにユーザー・タスク、マニュアル・タスクに、システムタスクをサービス・タスク、ビジネスルールタスク、などに分類している。作業ステップという言い方もある。
単独では、「あるべき姿」を意味する。
通常は””To-Be Process””として、新しい業務遂行方法を取り入れ、改めてモデル化されたプロセスを指す用語として用いられる。
事前研究と創造的作業の成果に基づき設計される新プロセスであり、現状を意味する””As-Is””と対比される。設計に際しては、プロセス・シミュレーション、最適化、シナリオ分析等の技法が活用されることが多い。
戦略論で知られるマイケル・ポーターが、著書『競争優位の戦略』(1985)の中で提唱した概念。製品ライン、市場、顧客層単位の事業ユニットを、付加価値をもたらすプロセスの連鎖と集合体としてとらえる。プロセスを、新製品開発、製造、ロジスティクス、販売、サービス等の基本(コア)プロセスと事業企画、財務、人事、IT等の支援プロセスに分割し、基本プロセスの効率向上と他社に模倣できない差別化に企業競争力の源泉があるとした。バリューチェーン分析は、プロセス間の相乗効果と競争力強化の源泉を把握するための手法。その結果がビジネス・モデルの構築に結びつく。
BPMでは、ビジネスプロセス階層の最上位概念として位置づける。しかし、プロセスのアウトソーシングが進展し、効率以外に柔軟性が求められる情勢の下で、プロセスの連鎖をネットワークとしてとらえるバリュー・ネットという新しい概念も提唱されている。
事象を計数や文字などのデジタルデータではなく、図形などのアナログデータに変換して把握・理解しやすくする思考助長技術。「見える化」とも言う。例えば、プロセスの構造を図表化することにより、複数人数間で認識を共有し、問題点の発見と改善のための議論の基礎資料とすることができる。また、プロセスの作用と役割、自分と他者の役割、顧客の視線の俯瞰的把握と理解の促進に役立つ。
インターネット/イントラネット上で多様なアクティビティとソフトウエアのコンポーネントを連結し、ユーザー・ニーズに即応するアプリケーションやプロセスの創出を可能にしようというサービス形態の概念。旅行ウェブサイトを通じた宿泊予約サービスは、その典型例。どのようなコンポーネントにも対応できるサービス指向であること、および事実上の標準規格とメタ言語の使用が、その要件になる。BPMにおいては、「ヒューマン・セントリック」アプローチと対比される概念でもある。
特定ワークフローで、それに所属する個人あるいはグループが遂行すべき作業の項目表。ワークフローエンジンが適用されている場合には、プロセス定義にしたがって自動生成され、同エンジンと利用者の間のインターフェイスの一部となる。ワークフローを担うチームメンバーは、作業項目表上で、作業項目のアサイン状況、作業進捗状況、問題の発生などを共有する。
自動的に実行されるビジネスプロセスの全体的あるいは部分的な業務の流れを示す。その過程で、ドキュメント、情報、あるいはタスクが、手続きルールに則って、ある関係者から別の関係者に引き渡され、所定のアクションが遂行される。
ビジネスプロセス全体あるいはその一部の自動化のこと。書式に基づく情報処理システムから成り、明確に定義された個人・部門間の固定的・事務的プロセスを支援する。ビジネスのプロセスとルールがソフトウエアに組込まれるため、業務処理の透明度が高まる。BPMスイートの主要コンポーネントであるビジネスプロセス実行エンジンの1要素でもある。
ワークフローツールの開発企業が集まり、1993年8月に設立されたワークフロー製品に関する非営利の国際標準化団体。異なるツールやベンダ間のインターフェイス仕様を策定する目的で結成された。プロセス定義を交換できる標準交換言語の最初のバージョンとして、1998年11月にWPDLを公開。その後、XMLが普及し、インターネットで文書フォーマットの定義に使用されるようになり、2002年10月にXMLベースのXPDL 1.0を正式リリースした。その後、ビジネス プロセス管理(BPM)ツールおよびそれに関わる業界ベンダに対象範囲を広げた。 BPMIによってBPMN 1.0が2004年5月にリリースされたことから、ワークフローツールおよびビジネス プロセス管理(BPM)ツールのビジネスプロセス可視化標準としてBPMNを支持、BPMNとXPDLをマッピング仕様を追加したXPDL 2.0を2005年10月にリリースした。
モデリングツール、最適化ツール、ワークフロー定義ツール等の異種のワークフロー製品間でビジネスプロセス定義に互換性を持たせるためにWfMC(Workflow Management Coalition)で研究開発されたフォーマット標準形式(XML)。